大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成2年(特わ)476号 判決 1990年7月12日

本店所在地

東京都豊島区西池袋五丁目二八番一号

株式会社トース

(右代表者代表取締役 須藤功)

本籍

山形県東置賜郡川西町大字吉田一〇二六番地

住居

東京都練馬区豊玉北六丁目二一番一-三〇五号

会社役員

須藤功

昭和二二年二月二六日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 渡辺咲子 出席

主文

被告人株式会社トースを罰金四三〇〇万円に、被告人須藤功を懲役一年六月にそれぞれ処する。

被告人須藤功に対しこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社トースは、東京都豊島区西池袋五丁目二八番一号に本店を置き、土地建物の売買及び仲介等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人須藤功は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人須藤は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空支払手数料を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、昭和六一年八月一日から同六二年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億八九七五万四六六円(別紙1の修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が一億八六三七万二〇〇〇円あつたのにかかわらず、同六二年九月三〇日、同都豊島区西池袋三丁目三三番二二号所轄豊島税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九〇八七万九八六九円で、課税土地譲渡利益金額が四九六四万二〇〇〇円であり、これに対する法人税額が四五六六万八三〇〇円である旨の虚偽の法人確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一億九八五四万一〇〇円(別紙2の脱税額計算書参照)と右申告税額との差額一億五二八七万一八〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人須藤の当公判廷における供述

一  被告人須藤の検察官に対する供述調書五通

一  吉住隆弘及び大川守正(二通)の検察官に対する各供述調書(いずれも謄本)

一  検察事務官白田敦作成の捜査報告書

一  大蔵事務官作成の支払手数料調査書、分配金調査書、情報提供料調査書、事業税認定損調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、課税土地譲渡利益金調査書

一  登記官小坂正義作成の登記簿謄本

一  豊島税務署長桑原靖夫作成の証拠品提出書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成二年押第三五七号の1)

(法令の適用)

被告会社の判示所為は、法人税法一六四条一項、一五九条一項に該当するので、情状により同法一五九条二項を適用して、被告会社を罰金四三〇〇万円に処し、被告人須藤の判示所為は、法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択して、被告人須藤を懲役一年六月に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和61年8月1日

至 昭和62年7月31日

株式会社トース

<省略>

別紙2

脱税額計算書

株式会社トース

自 昭和61年8月1日

至 昭和62年7月31日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例